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次のGAFAのMT SAASとは?ネクスト世代の高成長クラウド企業群

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IT企業に勤めている人でもGAFAの次に注目されている「MT SAAS」について知らない方も多いです。GAFAと聞けば、「Google、Apple、Facebook、Amazon」の頭文字をとった総称として知っている方も多いでしょうし、世界中の方に使われている製品・サービスで、生活する上で欠かせないモノになっています。

そんな誰もが知っているGAFAの次にトレンドになっており、急成長の企業群のことをMT SAASと呼ばれています。ちなみにMT SAASは、「Microsoft、Twillio、Shopify、Amazon、Adobe、Salesforce」の総称ですが、既に皆さんも知っている企業が入っているのではないでしょうか。

今回はそんなGAFAの次世代企業群のMT SAASについてご紹介していきたいと思います。

MT SAASとは?

MT SAASとは、「Microsoft、Twillio、Shopify、Amazon、Adobe、Salesforce」の総称のことで、一言で表すと「ネクストGAFA」です。つまり、今最も注目すべき企業群であり、これからGAFAのように誰もが知るワードになってくると期待されています。

  • Microsoftは、誰もが知っている企業でWindowsのパソコンを始め、ExcelやPowerPointなど普段から皆さんが利用しているサービスを展開していますが、MT SAASに入っている理由としてはMicrosoft Azureの意味合いが大きいです。
  • Twilioは、コミュニケーションAPIと呼ばれており、電話・SMS・ビデオ・チャットといった様々なコミュニケーション手段をAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)として提供しています。
  • Shopifyは、誰でも簡単にネットショップを開設できるECプラットフォームを提供しています。
  • Amazonは、皆さんご存知のとおり世界最大のECサイトを運営していますが、今回MT SAASに入っている理由として、AWS(Amazon Web Services)のSaaSの分野として入っています。
  • Adobeは、PhotoshopやIllustratorといったデザイナーが使う製品が多いのですが、最近では動画を作成するのにPremiere Pro やAfter Effectsを使う方も増えてきました。
  • Salesforceは、世界No.1のCRM(顧客管理)プラットフォームを提供しており、多くの企業が導入をしています。

上記6社がMT SAASの企業群になるのですが、皆さんも知っている企業が沢山あったのではないでしょうか。

最近ではGAFAの呼び名として、「GAFAM」や「FAANG」もありますが、将来的にMT SAASのどこかの企業がGAFAに参入していって、GAFAという呼び名も「GAFAM」や「FAANG」のように属する企業群が変わっていく可能性が高いです。近い将来にはGAFAの呼び名も無くなっている可能性もあるぐらいです。それぐらいMT SAASの企業は急成長していますし、アメリカでは誰もが知る企業ばかりとなっています。

ちなみにGAFAMは、「Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft」の頭文字を取った総称ですが、ここにMT SAASの中に入っているMicrosoftが入っていたりもします。ちなみにFAANGには、Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Googleの総称なので、GAFAにプラスしてNetflixが入っただけの呼び名でもあります。

GAFAに1社プラスして呼び名が変わっているだけで、実際はGAFAの4社がメインであることは変わりありません。それでは次からMT SAASの詳細を説明していきます。

MT SAASの読み方

まずMT SAASというのを見て、まだ広く浸透はしていないため読み方がわからない方もいるのではないでしょうか。MT SAASは「マウントサース」と呼びます。

ちなみに先ほどから名前を出していますが、GAFA(ガーファ)、GAFAM(ガーファム)、FAANG(ファング)と呼びます。この3つは企業の構成がほぼ同じなので、ややこしいですよね・・・。それに比べてMT SAASは、GAFAの次と呼ばれているだけあって、新しい企業が多いです。

MT SAAS 6社とは? どんな企業かわかりやすく解説

MT SAASの各企業と読み方について簡単にご説明しましたが、さらに6社のサービスや商品についてわかりやすく詳細をご説明していきたいと思います。

MT SAAS企業①:Microsoft(マイクロソフト)

Microsoftは世界中の誰もが知っている企業ですが、ビル・ゲイツとポールアレンの2人によって1975年に創業されました。本社はアメリカ合衆国ワシントン州にあり、1985年にパソコン用OSのWindowsを開発した後の1990年にMicrosoft Officeを販売しました。このMicrosoft Officeは、Word(ワード)、Excel(エクセル)、PowerPoint(パワーポイント)など、多くのビジネスマンが普段から利用しているソフトとなっており、Microsoftの売り上げは急激に伸びていきました。他にも家庭用ゲーム機のXboxや、検索エンジンのBingなども提供して着々とサービス展開をしてきました。

しかし、GAFAよりも昔からあるMicrosoftが今さらMT SAASに入るのか?と疑問に思う方もいると思います。それは2010年にサービスを開始したクラウドサービスのAzureが急激に利用を増やしているからです。

Azureとは、サーバーやネットワークといったITインフラや開発プラットフォームなど、自分たちが必要な機能だけを自由に組み合わせて利用することができます。これをクラウドで提供しているため、非常に使いやすいことから多くのエンジニアが利用をしています。Azureのライバルプロダクトとしては、Googleが提供しているGCP(Google Cloud Platform)やAmazonが提供しているAWS(Amazon Web Services)などが挙げられます。ちなみにAzureはクラウド市場シェア世界2位に位置付けているので非常に人気です。

クラウド分野は世界的に重要が高まっているため、Microsoftは時価総額はAppleに次いで2位に位置付けています。エンジニアじゃない人からすると、MicrosoftってパソコンのOS会社じゃないの?と思いがちですが、しっかりと成長産業に力を入れて売上を伸ばしていますし、幅広く手掛けているのでGoogleやAmazonのように巨大IT企業で、私たちの様々なITの裏側て利用されていることが多いです。

MT SAAS企業②:Twilio(トゥイリオ)

Twilioとは、コミュニケーションAPIをクラウドで提供しているAPIファースト企業。正直いまいちイメージが掴みづらいのですが、私たちが普段何気なく色々な人とコミュニケーションをとっている電話やSMS、ビデオ、チャット、SNSなどのようなコミュニケーションチャネルをAPI(Application Programming Interface)で提供しているため、自分たちのシステム上にそれらの機能を簡単に組み込むことができます。APIという言葉はエンジニアの人しか中々わからないかと思いますが、機能という部品を提供していると思ってください。

例えば、あなたが車を作る際にハンドルやタイヤなどの部品を0から作るのは大変かと思いますが、既に作られたハンドルやタイヤなどを購入して組み立てさえすれば、車が完成できてしまいます。このようにTwilioは、電話やSMSのようなコミュニケーション手段をAPIという部品で提供しているため、インターネット回線を使って電話をかける仕組みを作りたい場合には、Twilioの電話API(Programmable Voice)を使うことで実装が完了します。

またTwilioの一番の魅力は、世界100ヵ国以上の電話番号をブラウザから購入できるという点です。

あなたが会社を立ち上げた際に電話回線を敷くことになると思いますが、その場合はNTT・KDDIといった通信会社に依頼して、会社で設定をしてもらう必要があります。しかしTwilioのAPIを使えば、わざわざ通信会社の担当の方に来てもらう必要がなく、Google Chromといったブラウザさえあれば、Twilioに申し込むだけで電話番号を手に入れることができます。

またTwilioの配下にはSendGrid(センドグリッド)と呼ばれるメールに特化したサービスもあります。TwilioにはメールのAPIがなかったのですが、2018年10月にSendGridを買収したことによって、コミュニケーションのメインでもあるメール機能を手に入れました。これによってTwilioは、コミュニケーション分野でしっかりとオムニチャネル化して世界をリードしています。ちなみにTwilioは、CPaaS市場(コミュニケーション分野のPaaS)で世界No1の企業となっており、MicrosoftやAmazonがこの分野に参入してきています。これからTwilioはまだまだ成長すると言われているので楽しみです。日本ではKDDIグループがTwilioを提供しています。

MT SAAS企業③:Shopify(ショッピファイ)

Shopifyとは、世界シェアNo1のECプラットフォームを提供している会社で、2004年の創業でニューヨーク証券取引所に上場をしています。世界175ヵ国に展開されており、日本法人は2017年に設立されていますが、日本ではBASEがライバル企業となります。

Shopifyがここまで成長した理由として、月額料金と販売手数料の支払いという低コスト、簡単・気軽に誰でもECサイトを作れるようになった点です。

ウェブサイトでECサイトを構築するとなると、自分で作成するのはハードルが高く、外部の制作会社に頼むことが多いです。その場合の初期費用だけでも多額な費用にもなりますし、月の保守・運用費用も高額です。つまり個人が中々手を出しづらかったECサイトがShopifyを使うだけで自分で構築ができる点が人気に火をつけました。

また他のサードパティアプリとの連携も容易となり、拡張性も高いことから自分の好きなようにカスタマイズできるのも重宝されています。

MT SAAS企業④:Amazon(アマゾン)

Amazonは誰しもが一度は利用したことがあるほど、普段のライフスタイルに入り込んでいるサービスではないでしょうか。Amazon.comは世界No1の電子商取引サイトとして認知度は100%に近いのではと思っています。

しかしそんなAmazonは、Amazon.comとしてMT SAASに入っているのではなく、Amazonが提供しているAWS(Amazon Web Services)の人気が注目されています。

AWSは、先ほどMicrosoftの時にもご説明したとおり、クラウドサービスのAzureのライバルプロダクトとなります。AWSは、クラウドプラットフォーム市場で世界シェアNo1のサービスで、日本だけでなく、世界中のサービスの裏方役(プラットフォーム)として利用されています。あくまでサービス提供する上での基盤となるため、普段皆さんが何気なく使っているサービスがAWS上で提供されていたりもします。

ちなみに2021年2月にAmazon社のCEO(創業者)であるジェフ・ベゾス氏はCEOを退任して会長職になりましたが、そのCEOの後任としてそれまでAWSのCEOであったアンディ・ジャシー氏を指名したことからもAWSの成長度合いと、これからの期待が高いと判断できます。

MT SAAS企業⑤:Adobe(アドビ)

Adobeとは、1982年に設立され、カリフォルニアに本社を置いているソフトウェア会社です。メインのプロダクトとしては、PDFファイルを閲覧するAcrobat Readerや、写真や画像加工のPhotoshop、イラスト作成のIllustrator、動画編集のPremiere Pro、アニメーション作成のAfter Effectなどがあります。主にはクリエイターの方が使うことが多いため、PhotoshopやIllustratorは使ったことがない場合はありますが、PDFの閲覧のAcrobat Readerは一度でも使ったことがあるのではないでしょうか。

また最近ではYouTubeに動画を投稿する人も増えているため、動画編集としてPremiere Proを使ったり、YouTubeのサムネイル作成にPhotoshopを使うという人も増えています。Adobeは買い切りの販売方法をとっていましたが、サブスクリプションモデルに切り替えてから大きく飛躍しました。ちなみにサブスクリプションの火付け役の会社とも言われていたりします。

MT SAAS企業⑥:Salesforce(セールスフォース)

Salesforceとは、世界No1のCRMソリューションを提供している会社です。CRMとは顧客の情報を管理するプラットフォームなのですが、それをクラウドで提供しています。またSalesforceは、単純に顧客を管理するだけではなく、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)など、色々な機能が拡充されています。またSalesforceはサードパティのアプリとも容易にAPI連携が可能で、拡張性が非常に高いです。

例えば、先ほどご紹介したコミュニケーションAPIのTwilioと連携することで、Salesforce上から顧客に対してSMSやチャットを送ったりすることもできます。その他にもLINEや、Slack、Google Workspace、tableauなどと連携することで業務効率が大幅に改善するのでオススメです。

MT SAASとGAFAの売上と成長率を比較

それではMT SAASとFAANGの成長率を比較した結果が以下となっています。

青色がMT SAASなのですが、コロナ禍になったタイミングから急激に伸びています。クラウド分野への投資が大きくなったのも、オンラインで色々と仕事をする機会が増えたからだと思いますが、これだけ急激に期待が高まったことがわかります。

MT SAASの各企業の成長率(2010年〜2020年)も見てみましょう。

 

実際にGAFAの売り上げは2020年度で4社だけで約101兆円となっています。しかし、このGAFAは昔から世界の市場で高シェアを誇っているため、毎年ほとんど成長していないと思う方もいますが、実はしっかりと成長しています。

2017年度は4社で約61.4兆円だったのが、3年で約40兆円増えて約102兆円まで達成しているのです。あまりにも金額が大きいので成長率を算出すると166%なのですが、金額の増加数は驚くほど成長をしています。まだまだGAFAは侮れない存在です。

MT SAASに投資する方法

MT SAASがこれだけの成長を誇っているとなると、株式投資をすれば儲かる可能性もあります。そんな方のためにMT SAASに投資する方法をご紹介しておきます。大きく2つの方法「①MT SAASなどのクラウド関連ETFの購入、②MT SAASの企業を個別で購入」があります。

①MT SAASなどのクラウド関連ETFの購入は、②の企業を個別に購入するのではなく、これらの企業群をまとめて購入する方法です。ETFになるため、MT SAAS以外のクラウド関連株にも投資をすることになりますが、1つの企業だけだと何かがあった時にその企業だけ急激に株価が下がってしまうリスクがあります。

それを避けるためにもクラウド関連株のETFを購入することをオススメしており、人気が高いETFはグローバルX社の米国上場ETFのCLOUです。

CLOUのETFは、SBI証券から購入ができます。SBI証券はIPO株や、夜間取引(PTS)なども行えるだけでなく、取引手数料もかなり安いことから個人の投資家から絶大な人気を誇っている証券会社です。

ネクストGAFAのMT SAASとは?次の世代の高成長クラウド企業群のまとめ

GAFA・GAFAM・FAANGといったIT企業群の呼び名を知っている人は多くいたかも知れませんが、まだまだMT SAASの総称は知らない方も多かったのではないでしょうか。しかし、1つ1つの企業を見ると知っている方や、既に利用されている方も多いと思います。GAFA以外にも多くの方に利用されているMT SAASのサービスやプロダクトはコロナ禍によって成長しましたが、オンラインが主流となった今では今後も期待できる企業だと思います。

MT SAASの企業それぞれは現状のプロダクトだけではなく、日々進化を遂げていたり、企業買収(M&A)を行いながらサービス拡充を図っていくと思われます。そんな有望な企業の情報はこれからも発信していきたいと思います。

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