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SAFとは?持続可能な航空燃料である国産SFAにJAL・ANAも躍起

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持続可能な航空燃料であるSAFが近年注目されており、ヨーロッパではSAFの開発・利用が最も進んでいます。そんな欧米に負けている日本の航空会社のJALやANAも国産SAFの開発に躍起となっています。
今回はそのような話題となっているSAFについてご紹介しつつ、国産SAFの生産についてもご説明します。

SAFとは

SAFとは「Sustainable Aviation Fuel」の略称で、日本語では「持続可能な航空燃料」や「再生可能代替航空燃料」と言われています。

通常、航空燃料といえばガソリン系とケロシン系(灯油系)があり、搭載エンジンの違いによってどちらを使うかが分かれます。例えば、私たちが普段乗るような旅客機はケロシン系のJET燃料を使っていることが多いです。そんな石油由来のジェット燃料は環境に悪く、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)が排出されるため、クリーン燃料が求められていました。

そこで近年注目を浴びているのがSAFで、航空バイオ燃料として色々な研究開発がされています。

ヨーロッパの大手航空会社を代表して作られている協会のエアラインズ・フォー・ヨーロッパ(A4E)は、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロを目標にしています。そのためにはSAFの開発だけでなく、エンジンの改良やCO2排出量が少ない水素航空機などへの転換など様々な取り組みを行なっていく予定です。

その中でも最も重要なのが持続可能な航空燃料であるSAFをしっかりと生産できることのため、世界各国が一緒に取り組んで行かなくてはなりません。

現在、世界のSAF生産量は需要の0.03%未満に留まっており、量産と普及が急務となっています。SAFは二酸化炭素(CO2)排出量を従来の燃料より約80%削減することができる代替燃料のため、いかに早くに需要に対して供給ができるかが鍵となっています。

ANAとJALが2050年に向けて共同の取り組みを発表

ANAとJALというライバル会社が共同で取り組みを開始するという異例が起きました。それぐらいSAFへの思いは強く、ライバル会社同士が手を組んで取り組むべき課題というのが伝わってきます。

そんなANAとJALは、2050年にCO2排出量実質ゼロを実現することを掲げました。そのためには日本で最大約2,300万KLのSAFが必要ということが判明したため、海外のSAFを頼るのではなく、国内でSAFの生産ができるように両社は取り組んで行かなくてはなりません。

ANAのSAFの取り組みについて

そんな中、全日空ANAはJALよりも先駆けて2021年11月6日にSAFを用いた初のフライト(羽田からアメリカ・ヒューストン)を実施しました。この時に使用したSAF燃料は、フィンランドの企業「NESTE」のものです。

ANAはまずはSAF燃料を利用してのフライトを成功させたので、これから本当に問題がないかを細かくチェックをするために何回もSAF燃料を用いてテスト飛行をすると思います。

SAFの原料と生産方法

  • 廃食油、廃獣脂、パーム油等:米国、フィンランドで商用の生産工場が運転中で、商用としてSAFを供給した実績もある。
  • 都市ごみ・廃棄物等:米国で都市ごみ由来SAF生産工場を建設中で、日本も事業化に向けて検証を実施中。
  • 木質バイオマス等:米国にて商用化予定。日本でも技術開発・大規模化に向けた検証を実施中。
  • 藻類等:日本では2030年頃の商用化に向けて技術開発・大規模化に向けた検証を実施中。

まだまだ日本でのSAFの生産はできていなく、実験中のところが多い。JALとANAが最も目をつけているのが、天ぷらを揚げた後の廃食油です。

日本は揚げ物が大好きで、天ぷらやとんかつといった揚げ物の廃食油が多くでます。それらを活用することで国内SAFの生産に乗り出したいと考えています。しかし、各飲食店から廃食油を集めて回る人件費などのコストがかかりすぎて、大量生産するにはSAFの料金が高くなってしまうのが課題です。いくら環境に良いとはいえ、燃料費が現状よりも 数倍するのではJALやANAも採算が合わなくなってしまうこともあり、いかにコストを下げて大量にSAFを生産できるようにするのかが鍵です。

日本企業では「ユーグレナ」が微細藻類の培養技術を生かしてSAFの生産に乗り出しており、2030年には商用化を目標に開発を進めているため今後期待できると思います。

SAFの国際規格

SAF100%である必要はなく、従来の燃料との上限割合が50%などがあったりします。

ちなみに高級車ブランドで有名な「ロールス・ロイス」がビジネスジェットエンジン向けでは初となるSAFを100%利用した試験を実施しています。色々な企業がこぞって新たなビジネスチャンスとしてどこよりも早くSAFの生産に乗り出し始めていますね。

SAFとは?のまとめ

SAFとは、Sustainable Aviation Fuelの略称で、日本語持続可能な航空燃料や再生可能代替航空燃料と日本語で呼ばれているとお伝えしました。SAFという言葉はあまり日本では効き慣れないですが、環境問題が深刻化しており、世界中で環境保護に向けてCO2(二酸化炭素)の削減に向けて取り組んでいます。

今や中国が二酸化炭素削減にかなり力を入れ始めており、多額の投資を行っています。そのため中国企業は環境に優しい技術力が格段に上がっており、世界中のニーズに対するサービスや商品を提供してお金を稼ごうと必死です。

日本では国産SAFの生産をJALとANAが共同で取り組んでいます。これは今までになかった動きで、ライバル会社だからということではなく、みんなで地球を守ろうという強いメッセージを感じ取れます。

ユーグレナを始めとして、国産SAFを活用した飛行機が当たり前のように飛んでいる世界がくる日も近いかもですね。

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